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年末調整にかかる総務事務手続きの手順・スケジュール

   

年末調整にかかる総務事務手続きの手順・スケジュール

年末調整とは

 給与支払者は、毎月の給与や賞与から「源泉徴収税額表」 に基づいて所得税および復興特別所得税を源泉徴収します。
この源泉徴収した税額合計は各個人毎の控除等諸条件を加味していないため本来納めなければならない税額とは通常一致しません。
 そこで、1年間の給与総額が確定する年末にその年に収めるべき税額を正確に計算し、すでに収めた税額との過不足を精算するために「年末調整」が必要となります。

年末調整事務手続きの手順・スケジュール

年末調整の総務事務の流れは、大きく次の5つのステップに分けて考えると、分かりやすいです。
一応の時期・期限の目安を記載しますが、会社の規模や体制に応じて調整しましょう。

 

STEP.1 年末調整の対象者の確認・・・10月中旬頃まで

STEP.2 各種申告書の配布・回収・・・10月中旬頃配布、11月中旬~下旬回収

STEP.3 年末調整の計算・・・12月給与支払い時まで

STEP.4 過不足分の精算と納付・・・12月給与支払い時まで、納付は1/10まで

STEP.5 法定調書の作成・提出・・・1/31まで

 

以下では、STEPごとの実施事項・注意点などを解説していきます。

 

STEP.1 年末調整の対象者の確認

 年末調整は、原則として「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人全員について行いますが、例外的に対象とならない人もいます。
年末調整の対象となる人とならない人の区分は下記の通りです。

年末調整の対象となる人

年末調整の対象とならない人

(1)1年を通じて勤務している人
(2)年の途中で就職し、年末まで勤務している人
(3)年の途中で退職した人のうち、以下に該当する人
  ・死亡により退職した人
  ・著しい心身の障害のため退職した人で、本年中に再就職ができないと見込まれる人
  ・12月中に支給期の到来する給与の支払いを受けてから退職した人
  ・パートタイマーとして働いていた人で、本年中に支払いを受ける給与の総額が103万円以下である人
(4)年の途中で海外の支店に転勤したことなどの理由により非居住者となった人

(1)左欄のうち、本年中の主たる給与が2,000万円を超える人
(2)左欄のうち、災害により被害を受けて、本年分の給与に対する源泉所得税および復興特別所得税の徴収猶予または還付を受けた人
(3)月額表または日額表の乙欄適用者
(4)年の途中で退職した人で左欄の(3)に該当しない人
(5)非居住者
(6)日額表

<Point>

あなたの会社に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出し、給与の額面が2,000万円以下で年末まで在籍している従業員が年末調整の対象となります。
また、12月までに退職する従業員も12月に給与を支給していれば年末調整の対象になります。

 

★中途入社の従業員の年末調整について

中途入社の従業員については前職の源泉徴収票を回収したうえで、「給与総支給額」、「社会保険料額」、「源泉徴収額」は前職分と合算して計算して源泉徴収票を作成します。
そして、源泉徴収票の摘要欄には、前職における給与支払者(前勤務先)を記載するとともに、前職での支払金額、前職で徴収された社会保険料や源泉所得税の金額を記載します。

 

STEP.2 各種申告書の配布・回収

配布・回収書類は以下の通りです。控除の該当がない場合でも①と③は必ず配布・回収してください。

①平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

⇒前年に社員が記入し回収したものを配布し、申告した内容に変動がある場合は朱書きで修正してもらいます。

 

②平成28年分 給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書

⇒従業員ごとの配偶者特別控除・生命保険料控除・地震保険控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除などの各種控除額を把握するのに必要となります。
税務署から入手もしくはダウンロードして配布し、記入したものを回収します。

 

③平成29年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

⇒翌年の源泉徴収税額の計算に必要なため、税務署から入手もしくはダウンロードして配布し、記入したものを回収します。

 

④平成28年分 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

⇒申告書は対象社員の自宅に送付されるので、記入したものを提出してもらいます。(住宅借入控除を初めて申告するときは、税務署で確定申告を行う必要があります。2年目以降は勤務先での年末調整で済みます。)

 

<Point>

配布前に会社名と住所は印字またはゴム印で押印しておきましょう。
「案内文」や「記載例」を添えて配布すると、担当者への問い合わせや誤記入が減るので回収後の作業がスムーズになります。

 

STEP.3 年末調整の計算

給与・年末調整ソフトを利用する場合は、下記の計算を項目入力に従い自動で行うため、計算間違いもなく簡単に計算されます。手計算で行う場合は、下記の手順に従い計算する必要があります。

 

①一年間の「給与総支給額」、「社会保険料額」、「源泉徴収額」の集計

給与支払時に作成した賃金台帳や源泉徴収簿に基づき、各人の一年間の「給与総支給額」、「社会保険料額」、「源泉徴収額」を集計します。なお、給与総支給額には通勤手当は含めません。

源泉徴収簿のフォームは国税庁HPよりダウンロードすることができます。

 

②給与総支給額-給与所得控除額=給与所得控除後の給与の額

①で集計した一年間の「給与総支給額」から「給与所得控除後の給与の額」を求めます。

「給与所得控除後の給与の額」は「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に基づき算出します。

 

③給与所得控除後の給与の額-所得控除額の合計額=課税給与所得金額

②で求めた「給与所得控除後の給与の額」から「※所得控除額の合計額」を差し引いて「課税給与所得金額」を算出します。
「所得控除額の合計額」はSTEP1で回収した各種申告書をチェックして各種控除に該当するものを集計して計算します。

 ※所得控除額の合計額は、基礎控除額・配偶者控除額・配偶者特別控除額・扶養控除額・障碍者控除額・寡婦(寡夫)控除額・勤労学生控除額など属人的な控除と、社会保険料控除額・小規模企業共済等掛金の控除額・生命保険料の控除額・地震保険料の控除額など支出を伴う控除の合計をいいます

 

 ④課税給与所得金額より算出所得税額を算出

③で求めた「課税給与所得金額」を下の速算表に当てはめて「算出所得税額」をだします。

課税給与所得金額(A)算出所得税額
                              1,950,000円以下(A)×5%
1,950,000円超       3,300,000円以下(A)×10%-    97,500円
3,300,000円超       6,950,000円以下(A)×20%-   427,500円
6,950,000円超       9,000,000円以下(A)×23%-   636,000円
9,000,000円超     17,320,000円以下(A)×33%-1,536,000円

※1.課税給与所得金額が1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。
※2.課税給与所得金額が17,320,000円を超える場合は、確定申告が必要となり年末調整の対象となりません。

 

⑤算出所得税額-住宅借入金等特別控除額=年調所得税額

住宅借入控除がある従業員については「住宅借入金等特別控除額」を④で求めた「算出所得税額」から控除し、「年調所得税額」を計算します。
住宅借入控除がない従業員については「算出所得税額」=「年調所得税額」となります。

 

 ⑥年調所得税額×102.1%=年調年税額

⑤で求めた「年調所得税額」に102.1%を乗じて100円未満を切り捨てた金額が復興特別所得税を含んだ「年調年税額」となります。
この「年調年税額」が本来1年間に納めるべき所得税の金額になります。

 

STEP.4 過不足分の精算と源泉徴収票の作成交付

①年調年税額-源泉徴収額 ⇒プラスの場合は徴収、マイナスの場合は還付

STEP.3⑤で算出した「年調年税額」から①で集計した「源泉徴収額」を差し引いた結果が本来納めるべき税額の過不足分となり、12月支給給与(又は1月支給給与)で精算することになります。
プラスの場合は追加徴収、マイナスの場合は還付します。

 

②源泉徴収簿の作成及び源泉徴収票の作成交付

これまでに計算した結果を源泉徴収簿に記入し完成させるとともに、源泉徴収簿等から必要事項を転記して「源泉徴収票」を作成し、全従業員に配布します。
なお、平成28年度分よりマイナンバー制度の導入に伴い源泉徴収票のフォーマットが変更されていますので、以前のフォーマットで作成されている方は様式の変更が必要となります。

★源泉徴収票作成のPoint

源泉徴収票を作成するに当たり質問の多い「摘要」に記載すべき事項は以下の通りです。

①住宅ローン控除を受けた場合⇒住宅を居住の用に供した年月日

②国民年金保険料・国民年金基金の加入金として負担する掛け金を支払っている場合⇒その支払った金額

③年内に前職がある場合⇒給与の金額、源泉所得税額、社会保険料の金額、前職の住所・名称、退職日

④ 控除対象配偶者及び扶養親族の名前⇒扶養親族のうち、16 歳未満の扶養親族の名前は「○○(年少)」と記入

 ③所得税徴収高計算書(納付書)の作成・提出

上記の年末調整の計算が終わり、これにもとづいて過不足分の清算をした後は、定例どおり、原則として翌年1月10日までに、源泉徴収をした所得税を、「所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて、納付します。
なお、「所得税徴収高計算書(納付書)」には、年末調整の過不足の精算分については、追加徴収分を「年末調整による不足額」欄に、還付分を「年末調整による超過税額」欄に記載します。

 

STEP.5 法定調書の作成・提出

 年末調整の結果を取りまとめて1月末までに税務署及び市区町村に報告する必要があります。
法定調書の作成手順等については別途記事を作成しております。

 

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