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起業前に知っておきたい法人の税金の種類と概算計算方法

      2016/11/27

起業前に知っておきたい法人の税金の種類と概算計算方法

会社(法人)を設立して起業した場合には、会社に対する税金とあなた個人への税金がかかります。

会社を設立する場合には、税金の申告の知識はもちろん、

節税などを目的として先を見通しての様々なシュミレーションが必要となるため、

税理士と顧問契約をするのが一般的です。

そのため詳細に会社に関わる税金を勉強する必要はありませんが、

融資の際にも最低限の知識は必要になりますので、

会社設立の場合に必要となる税金の概要を解説します。

 

 

これだけは知っておきたい税金の概算計算方法

 

資本金とは

まず会社を設立する場合には、

元手となるお金を設立する会社の口座に振り込みます。

 

この振り込んだお金のことを※「資本金」といいます。

 

この資本金の金額が1億円を超えるか否かで、

会社が納める税金の種類や税率が変わります。

 

このサイトを起業のために見られている方のほとんどは、

起業する際の元手となる資本金は1億円以下だと思います。

 

そこで、下記では資本金は1億円以下との前提で解説させていただきます。

 

なお、この資本金1億円以下の会社を税務上「中小法人」と言います。

※正確には、資本金と資本金等(資本金及び資本剰余金の合計)と、

よく似た別の名称があり、税金の種類や場面でどちらを使うか区別する必要があります。

両者を使い分けると解説を理解しにくくなるため、

概要の理解が目的という観点から、

両者を区分せず同義と考えて読み進めてください。

また同様に、利益と所得は本来的には異なりますが、

両者を区分せず同義と考えて読み進めてください。

 

会社に対する税金

会社に対する税金は、

黒字の場合は下記の①・②の合計になります。

赤字の場合には利益に対する税金はかからないので②のみとなります。

 

①会社の利益に対してかかる税金(実効税率を利用した概算計算方法)

会社の利益(所得)に対する税金には、

法人税・地方法人税・法人都道府県民税・法人市町村税・法人事業税・地方法人特別税がかかります。

 

種類が多い・・・ですね。

 

しかも、結構な頻度で改正されます・・・。

 

そのため、それぞれ詳細に勉強する時間はないため、

「税金は税理士さんにおまかせ」ていう会社がたくさんあるのもうなずけます。

 

話はそれましたが、

起業を目指す方にとって上記の税金の計算方法を全て理解する必要はありません。

 

なぜなら、「実効税率」という便利なものがあるからです。

 

実効税率とは、くだけた言い方ですが、

税務上の調整を行って会社の利益にかかる税金をひとまとめにしたもので、

最終的に会社の利益に対してどれくらい税金がかかるのかを表したものです。

 

<平成27年4月1日以後に開始する事業年度にかかる中小法人の実効税率>

所得(利益)    実効税率    
400万円以下の所得21.42%
400万円~800万円の所得23.20%
800万円超の所得34.33%

※なお、実効税率は都道府県により若干異なります

 

上記が実効税率を表した表ですが、

使い方として、

例えば会社の利益(所得)が1,000万円でたときの利益に対する税金は?

800万円超の部分:(1,000万円-800万円)×34.33%=686,600円

400万円~800万円の部分:(800万円-400万円) ×23.20%=928,000円

~400万円の部分:400万円×21.42%=856,800円

 

1,000万円の利益(所得)に対してかかる税金の合計:2,471,400

と計算します。

 

②利益にかかわらず発生する税金

 

法人住民税(均等割)

法人都道府県民税と法人市町村税の合計をいいます。

 

利益に関わらず、赤字の場合でも税金がかかります。

 

事業所の所在により税額は若干異なりますので、

起業予定の事業所の所在地の役所のホームページなどで確認してください。

 

例えば、大阪市内で会社を設立する場合は、以下のような税額になります。

法人等の区分 従業員数 

法人都道府県民税

(大阪府)

 法人市町村税 

(大阪市)

資本金等の額が

1千万円以下

50人以下20,000円50,000円
50人超20,000円120,000円

資本金等の額が

1,000万円を超え1億円以下

50人以下75,000円130,000円
50人超75,000円150,000円

創業間もない間は、従業員数は50人以下が一般的と思われますので、

事業の元手となる資本金等が、

1千万円以下の場合は合計70,000円、

1,000万円を超え1億円以下の場合は205,000円となります。

 

このように節税の観点からは、資本金等が1千万円以下にする方が135,000円安く済み有利です

そのため、元手が1千万円を超える場合には、

資本金を1千万円以下で会社を設立した後に、

あなた自身から会社に対してお金を貸し付けるという貸付契約を結んで、

役員借入金として処理するなどの対応を検討するのもよいでしょう。

 

消費税

消費税は、原則預かった消費税から支払った消費税を差し引き、

その差額を税務署に納める税金です。

 

消費税率は現在8%ですが、2017年4月より10%に引き上げられることが予定されています。

 

消費税の納税義務について:

設立時の資本金又は出資の額の金額が1,000万円以上の会社は、

設立1年目から納税義務が発生しますが、

設立時の資本金又は出資の額の金額が1,000万円未満の会社の場合は、

課税売上が1,000万円を超えた場合に翌々年度から納税義務が発生します。

(特例が有り早まる場合が有ります。)

 

このように節税の観点からは、

基本的には設立時の資本金又は出資の額の金額が1,000万円未満の方が、

消費税の納税義務が先延ばしになり有利となります。

 

ただし、起業時に数千万以上の設備投資を行い、

起業前から1年目は赤字が予想されている場合などには、

消費税の還付を受けられる可能性もありますので、

税理士等に相談し慎重な判断・処理が必要となります。

 

あなた個人への税金

役員報酬に対する所得税・住民税

会社で起業する場合には、

あなた自身への給与を役員報酬として、

取締役会設置会社であれば取締役会で、

そうでなければ株主総会で決定する必要があります。

 

サラリーマンと同様に、役員報酬に対しても所得税・住民税がかかります。

 

計算式は以下のようになります。

 

(役員報酬の年額-給与所得控除額)=給与所得の金額

給与所得の金額-各種控除 = 課税所得金額

所得税の金額:課税所得金額を<所得税の速算表>にあてはめて計算した金額

住民税の金額:課税所得金額×10%+5,000円(均等割)

 

なお、個人事業主の違いは「給与所得控除額」という控除項目があることです。

 

給与所得控除額・所得税の金額は以下の表の結果を当てはめて税額を算出します。

 

<給与所得控除 平成28年度分>

役員報酬の年額給与所得控除額
1,800,000円以下収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超~3,600,000円以下収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超~6,600,000円以下収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超~10,000,000円以下収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超~12,000,000円以下収入金額×5%+1,700,000円
12,000,000円超2,300,000円(上限)

※ここでは平成28年度分を記載していますが、平成27年度・平成29年度も改正があり上表とは異なります。

 

<所得税の速算表>

課税所得金額税率      控除額     
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え4.000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

 

計算例

役員報酬 年額600万円(毎月50万円)の場合

仮定:扶養なし、青色申告で申告、社会保険料合計42万で所得税における各種控除合計は145万円、

         住宅ローンなど税額控除なし

(※個人事業主の場合と比較しやすいよう

「起業前に知っておきたい個人事業主の税金の種類と目安-所得(儲け)ごとのトータルの税金金額の目安」

での仮定と同様の額としています。)

 

(6,000,000-1,740,000)=4,260,000  ・・・・・給与所得の金額

4,260,000-1,450,000 =2,810,000  ・・・・・・課税所得金額

 

所得税の金額:2,810,000×10%-97,500=183,500

住民税の金額:2,810,000×10%+5,000円=286,000

となります。

 

個人事業主で所得が600万円の場合は、

所得税 482,500円 住民税 465,000円でしたので、

給与所得控除の影響で所得税・住民税については、

ずいぶん安くなっているのが分かりますね。

 

配当金にかかる所得税・住民税

事業が順調に進んで会社に蓄えられた利益を、

出資者であるあなたに配当金として支払うことができます。

 

非上場会社からの配当金の場合には、

配当金額の20.42%を源泉徴収したうえで,

10万円を超える配当金の場合には確定申告が必要となります。

 

また住民税については、金額の大小に関わらず、

配当金があった場合には申告が必要となります。

 

出資者があなただけ又は会社内部者だけの場合には、

配当金で支払うより役員報酬や給料で支払う方が税務上有利になりますので、

会社外部者からの出資がない限り一般的に配当はしない方が良いです。

 

 

お疲れ様でした。

ここまでが、会社設立者が起業前に知っておきたい税金の概要です。

以下は、上記で説明した税金の個別的な概要の説明ですので、

流し読み程度していただければOKです。

 

会社にかかる主な税金の種類

1.法人税

法人の所得に対し課税される税金です。

法人税の税率は以下の通りです

平成27年4月1日以後に開始する事業年度について

・資本金1億円以下の中小法人の税率は、

 年間所得800万円以下の場合は15%、年間所得800万円超の場合は23.9%

・中小法人以外の法人の税率は23.9%

 

2.復興特別法人税

平成23年に公布され東日本大震災からの復興の財源のための税金です。

平成24年4月1日から平成27年まで施行ですので、

今から起業される方は特に関係ありません。

 

3.法人住民税

法人都道府県民税と法人市町村税の合計をいいます。

所得の有無に関係なく必ず課税される「均等割」と、

法人税額に一定の割合を掛けて課税される「法人割」、

その他に利子に付く「利子割」が有ります。

 

均等割

その法人の事業規模によって、利益に関係なく納税するものです。

 

法人割

利益に対して発生するもので、法人税額を基に算出します。

例えば、大阪府大阪市の場合

平成26年10月1日以後に開始する事業年度について、

・資本金1億円以下で法人税額2,000万円以下の場合

 税額=法人税額×12.9%

・いずれかの条件を超える場合

  税額=法人税額×16.1%

 

利子割

金融機関などからの利子等に対しては、

都道府県民税として5%の税率で源泉徴収(天引き)され納税されます。

 

法人の所得税としては15%源泉徴収されます。

 

ただし、平成28年1月以後に支払を受ける利子からは廃止が決定されています。

 

4.法人事業税

法人事業税は、地方自治体から法人が事業を営んでいることで、

応分の負担を課すための税金です。

 

利益に対して発生するもので、所得金額を基に算出します。

 

この法人事業税を課税している地方自治体は、都道府県です。

 

従って法人住民税とともに都道府県税事務所へ納付します。

 

税率等については、各都道府県のホームページで確認してください。

 

5.地方法人特別税

地域間の税源偏在を是正するため、

法人事業税の一部を分離して、平成20年に出来たのが地方法人特別税です。

 

利益に対して発生するもので、標準税率で計算された法人事業税を基に算出します

 

例えば大阪府の場合

外形標準課税適用法人以外の法人について、

標準税率で計算された法人事業税×43.2%

と計算されます。

 

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